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「やばっ、権利証が無い!」

コラムCOLUMN

売却の豆知識

2021/08/12

「やばっ、権利証が無い!」

不動産の決済当日になって「やばっ、権利証が無い!」と大慌てになっている人はいませんか?

「不動産の権利書(登記識別情報)を紛失してしてしまったときの対応策」についてシェアします。


■そもそも権利書(登記済証)と登記識別情報ってなんだ?


所有権移転登記、抵当権設定登記などの権利の登記をしたときに、登記手続きが完了するとその権利の登記をした人に対して登記申請書の写し(副本)に登記官が「登記済」と押印した「登記済証」が返還されていました。


そして「登記済証」を所持している人が登記名義人であることを公的に証明していましたので、「登記済証」は別名「権利書」と呼ばれていたのです。


平成16年(2004年)の不動産登記法改正があって、それまでの「権利書」に代わって、数字と符号を組み合わせた12桁の暗号で登記情報を管理する「登記識別情報」による運用が行われるようになりました。


法改正後でも以前の権利書の効力は当然に有効ですので、不動産登記に関する本人確認手段として重要な書類であることには違いはないのです。

■紛失したどうなる?


権利書を紛失した場合でも、盗難に遭ってしまったとしても、再発行はしてくれません。不動産に関する重要な書類ですので厳重に管理しておくようにしてください。

そんな大事な権利書が無くなったら、売買や相続登記、不動産を担保にして融資を受けることができなくなるのでしょうか?

もし不動産の権利書や登記識別情報を紛失してしまった場合の対応策



権利書を紛失したときの対応策 再発行はできませんがあわてる必要はありません。次の3つの対応策があります。

1.司法書士による本人確認情報

2.公証人による本人確認

3.事前通知制度


安心しました? ちょっとだけ細かくご説明します。


1.資格者代理人による本人確認情報


「司法書士による本人確認情報」
とは、司法書士によって真正な不動産所有者であることを確認し、司法書士の責任によって所有者であることを証明する書類です。


ただし、司法書士としても責任があるので、その費用は3万円~5万円と高額になります。

「3」で説明する事前通知と違って、すぐに発行できて確実に登記申請を行なうことができます。権利証が無い場合、「本人確認情報」を使うのが一般的です。


2.公証人による本人確認制度


公証人による「本人確認制度」
は公証人が本人確認することにより、権利証がなくても「3」で説明する事前通知を省略して登記ができるという制度です。

◆運転免許証などの身分証明書、印鑑証明書(3ヶ月以内発行)、実印、司法書士への登記申請代理の委任状、登記原因証明情報などを準備します

◆必要書類も持って本人が公証人役場へ行きます

◆公証人の面前で必要書類に署名して実印を捺印します

◆公証人は認証を行い「認証文」を作成します

公証人による本人確認と認証を受けて「認証文」を登記申請書類に添付することで、権利証や登記識別情報の代わりになりますので、登記申請を行うことができます。


公証人による認証費用は、基本的に1万円以内ですので、司法書士による「本人確認情報」に比べると安価になります。登記に必要な書類の作成は司法書士に依頼することになるので、作成に対する報酬は必要になります。


もっとも、公証人による本人確認は時間がかかるので、急な対応はできません。時間がないときは「1」の方法で対応します。

3 事前通知制度


「事前通知制度」は、登記所が「本人限定受取郵便」を使って本人確認を行います。


権利証や登記識別情報がない状態で登記申請書に権利証を提供できない理由を記載して、そのまま登記申請を行います。


すると、登記所は登記名義人である所有者の住所地に「本人限定受取郵便」で「事前通知」を送付します。

事前通知には

◆不動産の登記申請(所有権移転等)があったこと
◆登記名義人(あなた)が確かに登記申請を行ったこと


を申し出するように求めるもので、通知が行われて2週間以内に申し出を行う必要があります。

「事前通知」が送られてきたら内容を確認したうえで回答欄に署名捺印(実印)して登記所に持参するか返送します。


この手続きで登記所は本人確認がとれたと判断し登記手続きを進めてくれます。


ここで気をつけてほしいのが「申し出までの期間」です。事前通知が届いてからではなく、登記所が事前通知を発送してから2週間以内に申し出を行わなければなりません。


期間内に返送がない場合、登記申請は却下されてしまうので注意してください。


ただし、不動産売買の基本は、権利の移転と代金の支払いは同時に行われますので、買主が売買代金を支払ってから最長で2週間もの間、所有権移転ができるのかはっきりしない期間があるのは問題です。


ですから実務では残代金決済前に事前通知の手続きを行い、売主に通知書が届いてから代金の支払いと通知書の提出を同日に行っていました。


今では、不動産売買においてこの方法はほとんど利用せず「1」の方法で行っています.


■まとめ

不動産の権利書や登記識別情報を紛失したときの対応策について書いてきました。

もし、権利書を紛失しても時間とお金をかけて司法書士や公証人による本人確認を行えば売却は可能なので慌てる必要はありません。


しかし、再発行ができない重要な書類であることには変わりはありません。


さらに、実印や印鑑証明書もいっしょに盗難に遭ってしまうと大きなトラブルに巻き込まれる危険もあります。


余計な手間や費用をかけることがないように、厳重に保管するようにしてください。(保管場所も忘れずに!)



磐田市の不動産売却の窓口 ガンバル不動産でした。