■使い道のない土地、どうする?
相続発生!
田舎の広大な土地の相続をめぐって兄弟間でもめています。
「俺はいらない」と長男。
「私だっていらない」と長女。
「俺もいらないけど・・・」と次男。
結局、引き取り手のない、どうしようもない土地が増えてしまいました。
運よく相続しても、不動産市場的に価値のない土地は荒れ果てていきます。昨今は土地に限らず、建物も同様です。
こん事例は山ほどあります。
使い道のない土地を、国に引き取ってもらえる制度が来年以降に創設される予定であることをご存じですか?
「相続土地国庫帰属制度」と呼ばれるものです。
■相続土地国庫帰属制度
2021年4月に成立した「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(以下「相続土地国庫帰属法」という)による制度です。
空き家になっている実家などを相続した場合に、法務大臣が承認すれば土地の所有権を国に帰属させることができるというものです。
国に帰属させるためにはいくつかの厳しい条件があります。
●建物は自費で取り壊さなければならない(土地だけ引き受けます)
●土壌汚染やガケなどがないこと(価値を毀損するもの)
●権利関係に争いがない(面倒なことお断り)
●抵当権などが設定されていない(更地にしておいて)
●10年分の土地管理費相当額の負担金がある(ただじゃないよ)
●審査手数料がかかる(申請もただじゃないよ)
※原野などで約20万円、市街地の宅地(200㎡)で約80万円、らしい
■死んだ人から承諾をもらう
相続などによって所有者が変わっているのに、不動産の登記をする義務はありません。
そのため、登記上は死んでいる所有者のままである所有者不明土地が、災害復旧などのための用地取得に支障をきたしました。
登記上の所有者がいないので、建物撤去の承諾がもらえない!
東日本大震災の際は、仮設住宅や堤防、道路などの復興のための土地の取得がとても大変だったようです。
というのは、登記簿上の所有者が死亡しても相続登記をする義務がないのです。行政が相続人を探して、その人から売買の同意を得ることに非常に手間と時間がかかったことが問題となりました。
所有者不明土地が占める割合は、空き家率よりも高いという見方もあるるようです。
磐田市の福田の空き地・空き家調査で町内を回っていると、空き地・空き家がたくさんあるのですが、登記簿を調査すると当時の所有者のまま、という事例ばかりです。
不動産屋としてはそれ以上の調査は不可能なので、実務上も大変困っています。ガンバル不動産が天国に行って聞けるのはまだ先ですから。
■所有者がわからない土地が北海道の広さに迫る!
一般財団法人国土計画協会の所有者不明土地問題研究会が2017年12月に発表した最終報告概要によれば
九州本島よりも広い約410 万haにもおよび、2016年度の地籍調査において登記簿上の所有者の所在が不明な土地は20.1%とされている。
さらに2040年には、所有者不明土地は北海道本島に迫る約720万haに拡大すると予測されています。
建物の解体費用と10年分の土地管理費相当額を合わせればそれなりの負担となりますが
貸すこともできず
売ることもできず
活用もできない・・
こんな土地の固定資産税を払い続け、除草などの管理を続ける負担を考えれば画期的な制度だといえると思います。
相続する子どもがいないので自分の住まいを処分したいということもあると思いますが、その場合は相続土地国庫帰属制度は使えないそうです。
このようなご相談も磐田市のガンバル不動産にご相談いただければと何とか生かす方法を考えます。相続した築古戸建てなら買取もしていますし。