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「離婚したら家どうなる?」問題

コラムCOLUMN

よくある質問

2022/01/07

「離婚したら家どうなる?」問題

正月からあれですが、離婚するときにマイホームの処分方法を巡って夫婦間で争いが発生しやすくなります。

不動産である家を物理的に2つに分けることはできません。離婚の際に家をどうすべきなのか、分ける方法、もらう方法についてシェアしておきます、その時のために。

■離婚したら建てた家どうなる?


離婚は、夫婦で以下の項目を話し合います。それを「離婚協議書」にまとめ、それに双方の判を押し離婚届を出すと成立します。


●財産分与
●慰謝料
(子供がいる場合)親権

(子供がいる場合)養育費
(子供がいる場合)面会交流
●年金分割
●退職金
●住所や連絡先が変わった場合の通知義務


財産分与とは、夫婦が婚姻中に築き上げた財産を、離婚時に夫婦それぞれ分け合うことをいい、名義に関わらず不動産の財産分与も2分の1づつするのが原則です。


しかし、家は、現金のように単純に半分ずつ分けることができないため、どのようにして財産分与すればいいのでしょうか?

一番わかりやすい方法が、家を売却して、売った金額を2分の1づつ分けることです。


なのですが、夫婦どちらかが所有したい場合もあります。奥様的に「ずっとこのまま住み続けたい」と思ったらどうするか?

この場合、土地と家の価格を調べて、2分の1の現金(代償金)を相手に支払えば、自分の家にすることができます。たとえば、今の家の価格が3,000万円の場合、相手に1,500万円の現金を払えば可能です。

ただ、現実的に、相手方にまとめて現金で支払えるという方はほとんどいません。

財産分与の2分の1ずつというのは、夫婦の「合意」があれば自由に決定ことができます。そのため、必ず2分の1づつしなくてはならないというわけではありません。住宅ローンが残ったまま家を財産分与するケースもあります。

■ローンが残ったままの財産分与のリスク


住宅ローンが残っている場合、完済したら名義変更するというケースがあります。この場合、完済までの何十年も、住宅ローンの返済ができなくなったときのリスクを抱えなければなりません。


リスク1 住宅ローンの名義は夫のままで妻が住み続ける場合、銀行から一括返済を迫られる

住宅ローンの名義は夫のままで、妻が家に住み続けるケースがあります。

たとえば、夫が不倫して離婚に至ったケースなどでは、「夫が完済まで住宅ローンを負担し続ける」という取り決めをすることもあります。

この場合、住宅ローンを完済したときには、家の所有名義を妻に移転する取り決め(離婚協議書や法的効力のある公正証書に必ず記しておく)をしておきます。

完済前に所有権の名義を夫から妻に変えてしまうと、銀行から契約違反としてローンの全額一括返済を求められる場合があるからです。

しかし、取り決めをしていたとしても、返済途中で元夫が経済的に困窮し、住宅ローンの返済ができなくなると財産分与で妻が得た家は競売(けいばい)にかけられ、妻や子どもの住む家がなくなってしまうリスクがあります。

リスク2 離婚しても銀行からは逃れられない


夫婦でお家を購入するとき、夫が住宅ローンの借入名義人となり、妻が連帯債務者や連帯保証人となるケースがよくあります。

連帯債務とは、1つの住宅ローンの借入契約において、債務者(借りる人)が複数になる形です。連帯債務にすると、夫と妻の収入を合算して計算できるため、ひとりで住宅ローンを組むよりも借入金額を増やすことができるというメリットがあります。

連帯債務の場合、それぞれの債務者が住宅ローン全額の負債支払義務を負います。どちらがどれだけの分を負担する、という負担割合はありません。

つまり、どちらかが支払えなくなっても、残りの1人が全額返さないといけません

連帯保証とは、夫婦のどちらかが単独で借入をしますが、もう片方が「連帯保証人」として、支払いを保証する形です。

連帯債務と違い、主債務者(メインで借りている人)は1人です。ここでは夫です。ただし、もう片方である妻がその支払いを保証しているので、主債務者が支払いをしない場合には、連帯保証人が返済をしなければなりません。「保証人になってはいけない」というその保証人ですね。

共通していることは、住宅ローンの支払いを滞らせると、とたんに「全額の一括返済」を要求され、拒むことができないという重い責任を連帯債務者や連帯保証人である負うということです。

離婚するとき、妻が住宅ローンの連帯債務者か連帯保証人になっていたら、離婚後もこのような重い責任を背負い続けることになります。

夫が離婚後に住宅ローンを払わなくなったら、妻が代わりに一括払いしなければなりませんし、妻も変わりに支払うことができなかったら競売だけでなく、自己破産しなければならない可能性もあります。

■住宅ローンや家の名義を移転したい場合

離婚にともない、家も住宅ローンも夫から妻へ名義を移したいという相談をよく受けます。

しかし、住宅ローンが残っている場合は、基本的に名義変更ができません。できるとしたら住宅ローンを完済すれば、その後で名義変更が可能です。

離婚するからと言って勝手に名義を変更することはできず、銀行の承諾が必要になります。それは連帯債務者も連帯保証人も同じです。

この場合、住宅ローンを引き受ける人が残債分を新たに住宅ローンを申し込み、銀行に一括返済することで名義を入れ換えるという作業をします。

具体的に言うと、夫の住宅ローンが3,000万円残っている場合、妻が銀行から3,000万円の住宅ローンを借りることができれば、夫名義の住宅ローンを全額一括返済することができます。そうすれば夫から妻への名義変更が可能です。

銀行は、名義人(ここでは夫)を年収や勤続年数などの審査を行い、「返済できる」と判断して住宅ローンを貸してくれました。

夫名義で住宅ローンを組んでいるケースが多いですが、離婚しても妻が家に住み続けるからという理由で住宅ローン名義を妻にしたいと思えば、妻にそれなりの年収や勤続年数が必要で、専業主婦やパート勤務では住宅ローンを貸してくれないのが一般的です。

なお、住宅ローンが残ったまま家を財産分与する具体的な方法としては、以下の4つがあります。

  1. 負担付贈与(免責的債務引受)
  2. 夫婦間売買
  3. 現状維持
  4. 売却


①負担付贈与(免責的債務引受)


贈与(ぞうよ)とは、「あげる」という意味です。ですので、家をあげるということになります。しかし、住宅ローン付きであげるという方法で、これを負担付贈与(ふたんつきぞうよ)といいます。

夫婦の間で、負担付贈与で合意した上で、あとは住宅ローンを借りている銀行の承認をもらわなければなりません。

免責的債務引受(めんせきてきさいむひきうけ)を簡単に言うと、銀行が承認した上で、夫が借りている住宅ローンをそのまま妻が引き継いで住宅ローンを借りることができるものです。


銀行に承認してもらえば、仮に妻が住宅ローンの支払いができなくなったとしても、夫に支払いの義務が及ぶことはありません。

専業主婦やパート勤務であっても、養育費などを年収と同じ扱いにしてくれるためです。この場合は、名義変更も可能です。

もっとも


免責的債務引受が可能かどうか、銀行の判断によりますし、原則離婚協議書の提出を求められます。離婚協議書に養育費や慰謝料など様々な条件を記載しているからです。

ただし、そもそも免責的債務引受を認めていない銀行もあります。債務者(ここでは夫)に対する債務を免責し、その債務を相手方(ここでは妻)へ引受けさせるということは、住宅ローンの融資をしている銀行にとっては返済が滞る可能性というリスクを負うわけですから、銀行にしてみれば当然です。

②夫婦間売買


免責的債務引受が難しい場合は、銀行で妻名義で住宅ローンを借りられるかどうか審査が必要になります。


こちらも借りられるかの判断は、銀行での審査によるので、ローンを借りている銀行に可能かどうか聞いてみてください。ダメな場合は他の銀行でも審査を受けます。

このとき、相場価格よりもあまりに安い価格で売買を行うと「低額譲渡」とみなさされて、税務署から買主側に贈与税の支払いを求められる可能性があるので注意が必要です。

③現状維持

免責的債務引受、夫婦間売買のいずれも難しく、財産分与の名義変更をすることが難しいときどうするか?


この場合は。そのままの状態で、将来住宅ローンの完済と同時に名義変更の登記申請手続きを行い、財産分与を行うという旨を「離婚協議書」に明記しておきます。


完済するまで何年もあり、その期間中に住宅ローンの返済ができなくなったときのリスクを抱えなければなりません。もしも再婚によって新たな家族ができれば、権利関係がより複雑になります。

現状維持とする場合、課税上は離婚成立時に財産分与があったものとして、分与側(財産を手放す人)は譲渡所得の申告(譲渡所得税が生じない場合には、「譲渡所得の内訳書」の提出)をしておく方が良いでしょう。将来、名義変更を行った際、税務署から贈与と疑われることを防ぐためです。

④売却

負担付贈与(免責的債務引受)、夫婦間売買、現状維持のいずれも難しい場合は、家を第三者へ売却することで住宅ローンを一括返済し、手取りのお金を財産分与するという方法です。

住宅ローンの負担が重く、離婚後自分一人で返済していくのが難しいなら、いっそのこと売却して住宅ローンを返済すべきです。

また、夫婦で家をどうするか話し合ったけれど折り合いがつかないなら、家を売却してスッキリ解決してしまうのがおすすめです。売却して住宅ローンを払い、残ったお金を2分の1ずつに分ければお互い公平でもめることもありません。

■まとめ


離婚時に家を財産分与するかどうかを判断するためには、現在の家の価格を知っておかなくてはなりません

てっとりばやく、不動産会社に査定してもらうのが一番早い方法ですが、上述した通り、まだ売却するかどうか決まっていないのに、不動産会社に査定してもらうのは気が引けるという方も多いですし、そもそも離婚の事情を詳しく話すことに抵抗があるという方は少なくありません。

いきなり不動産会社に依頼するのは気が引ける方や、そもそも自分の場合はどうしたらよいのかわからないという方はまず「ガンバル不動産」にご相談ください。

いまなら無料で、自分の家の相場価格を知ることができます。また、状況をお伺いし、どのようにすべきかいっしょにお話しましょう。