■抵当権つきの不動産は売れるのか?
土地や住宅などの不動産の売却は住宅ローンを完済してから行うのが取引の原則です。
しかし、原則があれば例外もあります。
たとえば、新型コ■ナなどの急激な社会的事象、経済的な理由や生活の変化などによりローンを完済する前に不動産を売却しなくていけないことも多々あります。
となると、「抵当に入っているうちの不動産って売却できるのかな?」と不安になる方も多いでしょう。
結論から言うと、抵当権がついている物件であっても売却することは可能です。
どのような方法であれば可能なのか、もう少し詳しくお話ししていきます。
■抵当権がついている不動産を売却する
抵当権つきの物件を売却する方法をご紹介します。
抵当権とは、お金を貸してくれる金融機関が借主の返済が滞るなどのリスクに備えるために「不動産に担保を設定することで借主の債務不履行の際に優先的にローンの弁済を受けるため」の権利のことです。
住宅ローンの場合、「そのローンを組んで購入する不動産」が担保になります。
ローンは借入額に合わせて毎月支払っていくことになりますが、30年以上にもわたる長期間の返済なのでローン返済が滞ってしまう可能性もあるものです。
そのような場合に備え、お金を貸している金融機関は抵当権を登記し「返済できなくなったら、その不動産を売って返済に充ててもらう」ことができます。
これが抵当権です。
■不動産を売却するには抵当権を抹消する必要がある
抵当権つきの不動産を売却するためには、金融機関に対して不動産に設定されている抵当権を抹消する必要があります。
抵当権を抹消するには、ローンを完済しなくてはいけません。つまり、残債(残ったローン)を一括で支払う必要があるということです。
全額を一括返済するだけの現金が手元にあれれば、この方法で問題ありません。
しかし、抵当権つきの不動産を売却しようと考える方の多くが、ローンの残りを一括で支払うことが難しいから困った状況に陥っているのです。
抵当権がついている不動産は、もともとの所有者(売主)によるローンの返済が滞ると、自分が買った不動産を自分が借りたわけでもないローンのために競落されてしまうリスクがあるのです。
そのようなリスクのある不動産をわざわざ購入したいと考える人は誰もいません。
売値がローンの残高よりも高ければ、抵当権抹消と所有権移転を同時に行うことができるので、何の問題もありません。
実際の現場では、よほど人気エリアの不動産でない限り、不動産を高値で売却することは難しくて、ローン残高を上回る額で売却するとなると困難を極めることになります。
●不動産を売却したい
●その不動産には抵当権がついている
●抹消できるだけの手元資金がない
●不動産を売りたくても売れない状態・・・
いったいどうすればいいのでしょう?
抵当権がついたままでも売却できる方法があります。
■任意売却という方法
一般的にローンの返済が半年も滞ると、その不動産は競売にかけられます。債権者である金融機関が裁判所を通じてその不動産を売却するのです。
競売による売却で得た収益は全額が債務者に公平に振り分けられて、不動産の持主には1円も入ってきません。
また、裁判所の介入により強制的に行われるため、「いくらで売却したい」「いつ頃売却したい」というような希望を聞いてもらうこともできません。
そのような事態を避けるために選べる選択肢のひとつが「任意売却」となります。
任意売却とは、金融機関と債務者(ローンを借りている人)の間に第三者として不動産コンサルタント的な業者に入ってもらい、その仲立ちによって不動産の売却をするというものです。
競売と違い、引っ越しの時期、売却の条件などの融通がききますし、競売の価格よりはるかに高額な、より市場価格に近い額で売りに出すことができます。
ほかにも、金融機関との調整次第では、引っ越しにかかる費用を受け取ることができたり
競売に掛けられるときにあるような裁判所の執行官による自宅調査などが行われることがないため、近所の人に「あの家、競売にかかったらしいよ」と知られにくかったりできるメリットがあります。
■任意売却をするための条件
いろいろメリットがありそうな任意売却ですが、誰でも利用できる手段ではありません。
任意売却をするには、次のような条件を満たしている必要があります。
●住宅ローンを現在も滞納している
●売却しても住宅ローンが残る
任意売却をするには、ローンの返済が滞り破産に向かっている状態にいること、つまり、競売にかかる裁判上の過程にいる人だけが選択できて、売却できる期間も限られるということになります。
任意売却で売れなければ、そのまま競売にかかるわけですね。
任意売却に関しては、事前に弁護士さんといっしょに検討してください。
■まとめ
やむを得ない事情で、ローンを完済していない不動産を売却しなくてはいけないケースは多々あるものです。
そういうときは、なるべく早い段階で不動産の専門家や司法書士、弁護士などに相談した上で、返済方法の変更、任意売却、破産など選択していくようにしてくださいね。
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